メッセージ

~「ペンテコステ前夜」~    吉村知子               
本日は教会暦で「聖霊降臨日」(ペンテコステ)です。この時からキリスト教会が始まったと言われますが、イエスが昇天してから弟子たちはどのように過ごしたのでしょうか。そのころ弟子たちの集まりは120人ほどになっていました。その中にはイエスの母マリアとイエスの兄弟もいました。彼らは心を合わせて、熱心に祈っていました。
「あなた方の上に聖霊が下ると、あなた方は力を受ける。そしてエルサレムばかりでなく、ユダヤとサマリアの全土で、また、地の果てにいたるまで、私の証人となる」(使徒1:8)。イエスのこの約束を信じて祈っていた弟子たちは、あることに気づきました。12弟子の内、ユダがいなくなり、弟子に1名の欠員が出たのです。12という数字は、さかのぼると旧約のヤコブ(イスラエル)の息子12人を表し、その子孫から神の民が広がるという約束(契約)を意味します。イエスが任命した12人は、新しい契約の民のシンボルでもありました。弟子たちはイエスの意をくんで「補充選挙」をします。しかし方法は、重要な局面でよく使われる”くじ引き“で行いました。
主イエスと行動を共にしたバルサバとマティアの二人を立て、みんなは主の心を求めました。くじを引くとマティアに当たったので、マティアがこれから12弟子の一員として任務に就きます。
将来の見通しが立たないときに、弟子の補充という”実務的“なことをして共同体の存続を考えた弟子たちの先見の明は、将来を見通せない時にも、備えをする大切さを教えます。このようにして弟子たちは約束の聖霊を受ける備えができたのです。