メッセージ

 

~ 「祈る心、信じる心」 ~    吉村知子

 初代教会に迫害の手が伸びます。ヘロデ王が12弟子の一人、ヤコブを殺害し、ペトロにも手を伸ばし、投獄します。ペトロが公衆の面前に引き出される前夜、番兵の間でぐっすりと眠っていたとき、主の使いが現れ、ペトロの脇腹をつついて起こします。明日は自分の命が、どうなるかわからない時、よくそんなに熟睡できるなと驚きますが、これがペトロの強さなのでしょう。主にすべてを明け渡していたペトロは、主の平安に満たされていたのです。その後主の使いの助けによって牢屋を出たペトロは「これは夢ではない。神が助けてくださった」と理解するのです。
 さて共同体はペトロが投獄されてからずっと、ペトロの無事を、主に熱心に願い求めていました。その祈りが聞き届けられたのです!喜びに溢れたペトロがみんなのいる家の戸を叩くと、女中が門を開け、「ペトロが帰ってきた!」と喜びの声をあげたのですが、みんなは、「そんなことは起こるはずがない。あなたはどうかしてしまったのか」と、女中をあざ笑います。しかしペトロが中に入ってきて、みんなはようやく信じることができたのです。
 この話は他人ごとではありません。同じような経験をした方もおられるのではないでしょうか。熱心に祈っているけれど、それが実現した時には、まさかそんなことがあるはずがない、と疑ってしまう私たちです。私たちも祈りにおいて、一歩一歩成長することが求められています。