メッセージ

 ~「奉仕者の選び」~    吉村知子               

ペンテコステの日に約束の聖霊が降り、ペトロは「イエスこそ救い主である。悔い改めてイエス・キリストの名によってバプテスマを受けよ」と大勢の群衆を前に、大胆に福音を語ります。その結果3千人もの人が、イエスを信じてバプテスマを受けました。その後も、ペトロは体の不自由な人を「イエス・キリストの名」によって癒し、それを目撃した人々の心も聖霊が捕え、そのころには信仰の仲間が五千人に増えていきました。
しかし信仰共同体といっても、人間の集まりです。共同体の中に対立が起こりました。ギリシア語を話すユダヤ人から、ヘブライ語を話すユダヤ人に対して苦情が出たのです。共同体は二つのグループから構成されていました。ヘブライ語を話すユダヤ人(ヘブライオイ)と、ギリシア語を話すユダヤ人(ヘレニスタイ)です。ヘブライ語を話すユダヤ人は、根っからのユダヤ人で律法や神殿礼拝を重んじる人々です。一方、ギリシア語を話すユダヤ人とは、かつて離散し(ディアスポラ)、外国に住んでいたけれど、エルサレムに戻っていた人々の事です。彼らはギリシャ語を話し、ヘレニズム的生活を営み、福音の捉え方は、よりラディカルで、律法批判・神殿批判をしていたようです。
さて、ギリシア語を話すユダヤ人から苦情が出ました。彼らの仲間の“やもめたち”が、日々の配給で軽んじられているというのです。これを聞いた使徒たちは、今でいう執事の任につかせるために「霊と知恵に満ちた評判のよい7人」を選び、使徒たちは神の言葉に専念することにしました。この対立をきっかけに、より盤石な体制作りができ、福音がさらに広がっていくことになるのです。