メッセージ

    ~「最初の殉教者」~    吉村知子               
ペンテコステの日に約束の聖霊が降り、使徒たちは大胆にイエスの福音を語り、すでに5千人もの人が共同体に加わりました。初代教会の誕生です。共同体は“霊と知恵に満ちた”奉仕者を7人選び、教会の地盤を固めました。これからの教会の歩みは希望に満ちていると誰もが思ったことでしょう。しかしその時思わぬことが起こりました。奉仕者の一人ステファノが殉教したのです。
ステファノは奉仕者として選ばれたのですが、宣教活動にも加わっていたようです。キレネとアレクサンドリア出身で「解放された奴隷の会堂」に属する人々や、キリキア州とアジア州出身の人々が、ステファノと議論しました。しかし神の知恵に満たされたステファノには歯が立たず「彼はモーセと神を冒涜した。神殿と律法をけなしている」と噂を流しました。それでステファノは当時の裁判所である最高法院に連行され、申し開きの機会を与えられました。ステファノは、神の救いの計画をアブラハムから説き起こし、「イスラエルの民の歴史に神が介入された。それは、終わりの時に、御子イエスによって、全人類に救いの道を開くためである」と、静かに語り、あなたたちはこのイエスを十字架にかけて殺したのだと迫ります。それを聞いた人々は怒りに燃えて、ステファノを議会から引きずり出し、石打ちの刑を処します。
ステファノは神の右におられるイエスに目を注ぎ、「彼らの罪を赦してください」と、とりなしの祈りをして、眠りにつきます。この様子は、イエスの最後とよく似ています。ステファノはイエスの弟子となり、イエスの足跡に従ったのです。この時から初代教会への迫害が始まります。しかし神の救いの業は続きます。ステファノの殉教は、のちの異邦人伝道のきっかけとなるのです。