メッセージ

 

   ~「サマリアへの伝道~    吉村知子               
先週は、初代教会から最初の殉教者が出たことをお話ししました。共同体の奉仕者として選ばれたステファノは、霊と知恵に満ちた人で、多くの人の癒しを行っていましたが、主イエスの福音をはっきりと語ったことで、民衆のひんしゅくを買い、最高法院へ連行され、ついには石打ち刑に処せられました。ステファノは、主イエスの歩まれた道を弟子として歩み、最後には「主よ、この罪を彼らに負わせないでください」と叫んで眠りにつきました。ステファノはこの世の生を終えましたが、彼の信仰は“一粒の麦”として、共同体の仲間に受け継がれました。
ステファノの殉教が発端となり、エルサレム教会に対して大迫害が起こり、使徒たちのほかは、みなユダヤとサマリアの地方に散っていきました。しかし彼らは、福音を告げ知らせながら巡り歩いたのです。フィリポはサマリアの町に入り、人々にキリストを宣べ伝え、病人を癒したので、多くの人が主を信じバプテスマを受けました。
エルサレム教会はペトロとヨハネを派遣します。彼らが祈ると、人々に聖霊が降ります。それを見た魔術師シモンは、ペトロの前にお金を持ってきて「私が手を置けば、誰でも聖霊が受けられるように、私にもその力を授けてください」と願うので、ペトロはシモンに「お金でこの賜物を買おうとするお前の心は、神の前にふさわしくない。悔い改めて神に赦しを願え」と叱責します。祝福があれば悪も入り込みます。それを冷徹な目でとらえ、神の道を曲げず立ち向かうペトロたち。現実の世界は決して甘くはなく、イエスがおっしゃったように「鳩のように素直で、蛇のようにさとく」歩むことが求められます。