メッセージ

 ~「不思議な出会い」~  吉村知子
               
 ペトロはリダとヤッファで癒しと奇跡を行い、多くの人がイエスを信じました。彼はしばらくヤッファに留まったのですが、神はこの後ペトロに“不思議な出会い”を用意していました。それはペトロのこれまでの価値観を大転換する出来事です。ある日ペトロが祈りのため屋上に上がった時、夢見心地になり、不思議な光景を見ました。天が開き、大きな布の入れ物が地上に降りてきたのですが、その中には律法で食べるのが禁じられている動物が入っていたのです。さらに「それを食べなさい」という声がしたのでペトロは驚いて「とんでもない。私はこれまで清くない物、汚れた物は何一つ食べたことがありません」と答えます。すると、声の主は「神が清めた物を清くないなどと、言ってはならない」と叱責します。
 するとその時、カイサリアに駐屯しているローマ人コルネリウスの使いが訪ねてきて、コルネリウスの元にも、神の使いが現れ、ヤッファに滞在しているペトロを招き、話を聞くようにとの指示があったと話します。ペトロは自分が幻で見たことと、コルネリウスに招かれたことが、一つの糸でつながっていることを知ります。
 「神が清めた物を清くないと言ってはならない」―これは、ユダヤ人だけが神の救いにあずかると信じていたペトロの価値観を、根底から崩す言葉です。神の救いはユダヤ人だけでなく、ユダヤ人以外にも開かれていることを、ペトロはコルネリウスとの“不思議な出会い”で体験するのです。