～～本日のメッセージ「すべての人を憐れむために」　～澁谷和美牧師
ローマの信徒への手紙１１章２５節～３６節
今日の箇所、パウロは「神の秘められた計画がある」と語り始めます。その計画とは。
11:25 兄弟たち、自分を賢い者とうぬぼれないように、次のような秘められた計画をぜひ知って
もらいたい。すなわち、一部のイスラエル人がかたくなになったのは、異邦人全体が救いに達す
るまでであり、 11:26 こうして全イスラエルが救われるということです。
神の子イエスから始まったキリスト教は、ユダヤ教を母体としていますが、イエスを十字架につけて殺したのはユダヤ人であり、ローマ政府です。新しい神の啓示を多くのユダヤ人は拒絶したままでした。新たにイエス・キリストを信じる信仰に入れられた者たちもいます。多くは彼らに与えられた律法主義の信仰に留まり続けております。同じヤーウェの神、創造の神を信じる者たちであるのですが分かちがたいものが在りました。彼らはアブラハムによって与えられた神の祝福の約束をいただいている選ばれた者たちであることを信じ礼拝を続けていました。熱心さをパウロは認めていました(10:2)。
イエスを受け入れないユダヤ人に対して、ユダヤ人以外の異邦人信徒はどのような目で見ていたでしょうか。ひょっとしたら、25節の「兄弟たち、自分を賢い者のようにうぬぼれないように」とのパウロの言葉から推測すると自分たちの方がイエスの救いが分かった知恵のあるものと思っていたかもしれません。またユダヤ人信徒にとっても、彼ら同胞より霊的に上だというような思いがあったかもしれません。
そこでパウロは「神の秘められた計画」として神の奥義を説明するのです。
11:26 ・・・「救う方がシオンから来て、／ヤコブから不信心を遠ざける。 11:27 これこそ、わ
たしが、彼らの罪を取り除くときに、／彼らと結ぶわたしの契約である。」
この言葉はイザヤ書59:20－21(詩編14:7)、27:9(エレミア31:33－34)の言葉を組み合わせたものです。新たなユダヤ人の救いの出来事は神の預言にあるようにユダヤ人であるイエス(救う方がシオンから)を通して起こっているのだ。救い主イエスは彼らユダヤ人(ヤコブ)の不信心を遠ざけ、罪許されて神の救いに入れるだろうとの意味で受け取っているのでしょう。神の招きと祝福はユダヤ人の上にもあることに変わりない(11:29)。其れなのに今彼らが神に対して背を向けて福音を受け入れていないのは、その間に不従順に生きていた異邦人が神の憐みによって救いを受け入れられる時となっている。異邦人の上にもたらされた神の憐れみはユダヤ人の不従順を招き続けているかもしれないが、そのことも、次はユダヤ人自身が神の憐みを受ける時となる。それは終わりの時ではなく「今」起こるとパウロは語るのです。長く不従順にあった異邦人が憐れみを受けて救われるなら、神の選びの民が不従順であってもなお憐れみを受けるのはなおさらである。
11:32 神はすべての人を不従順の状態に閉じ込められましたが、それは、すべての人を憐れむためだったのです。
イエス・キリストの福音によって救われるということは神の憐みでしかなく、その救いにおいてさえ、神は時を用いられる。
パウロは、神の計画のすばらしさ、人間的な知恵では測りがたいことを神はしてくださっていると、恵みと憐れみの神への頌栄で言葉を結びます。
11:36 すべてのものは、神から出て、神によって保たれ、神に向かっているのです。栄光が神に永遠にあ
りますように、アーメン。